一般社団法人 日本アーユルヴェーダ学会

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アーユルヴェーダからのアドバイスコーナー: 水木 可葉

ア ー ユ ル ヴ ェ ー ダ の レ ッ ス ン(6)

◇ 気 質 の バ ロ メ ー タ ー


アーユルヴェーダは、食物が身体だけでなく精神作用と密接に関連していることに着目してい ます。サットヴァ、ラジャス、タマスという用語で気質を表わし、この三つをまとめてトリ・グナとよんでいます。
Vata、Pitta、Kaphaをまとめてトリ・ドーシャというのと似ています。トリ・グナはもともと深遠なインド哲学の用語ですが、難解な意味合いはさておき、気質のバロメーターとして覚えておくと、なにかと便利です。



◇ サ ッ ト ウ゛ ァ 、 純 粋 性 と 忍 耐 力


サットヴァというのは、一言でいえば純粋性で、均衡を保つ宇宙の力のことです。程度の差はありますが、だれもがサットヴァをもっています。ついでですが、アーユルヴェーダのお医者さんは、患者さんのサットヴァ度を意志の強さや忍耐力でチェックします。

古典には、気質は15タイプに分けられると書いてあります。そのうち7つがサットヴァ型に属します。

サットヴァ型の人というのは、純粋なこころをもち、信心深く、知識欲が旺盛で、物事を公平に見、中道を好みます。
花や香りを好み、歌や踊りが好きなガンダルヴァ・タイプの人もサットヴァ型に入ります。
ガンダルヴァは天女アプサラスの伴侶で、天界の楽士です。ほかに、リシ[仙人]タイプやブラフマー神やインドラ神などのタイプがあります。


◇ ラ ジ ャ ス 、 激 情


ラジャスは激情のことですが、活動を起こす宇宙の力でもあります。
ラジャス型の人は、感情の爆発を起こしやすく、自分の楽しみを妨害されると激怒します。
おしゃべりで活動的ですが、計画性がなく目的がはっきりせず執着と嫉妬に支配されています。
ラジャス型には6タイプあり、グラハ【鬼 神】の名前で表されます。
たとえばピシャーチャ【屍をたべる鬼神】・タイプの人は残飯を好んで食べ、派手で恥知らずなのだそうです。
独断的で宗教心がなく、自画自讚する人はラークシャサ【羅刹】・タイプです。

◇ タ マ ス 、 惰 性


タマスは暗黒を意味しますが、同じ状態に留まろうする衝動のことで、活動を抑える宇宙の力でもあります。
タマス型の人は愚鈍で不精、惰眠をむさぼり、思いやりがなく、傷んだものでも食べるくらい食い意地が張っている、といった具合で、ラジャス型と同様、いいところなしです。
タマス型は3タイプで、パシュ【獣】・タイプは怠け者で反抗的、マツヤ【魚】・タイプは情緒不安定で臆病、ヴァナスパティ【植物】・タイプは出無精で食べることしか関心がない、というのが特徴です。



◇ 体 質 と 気 質 の 関 係


アーユルヴェーダはなかなか分類好きのようですが、「あの人はラークシャサだわ、マツヤも入ってる」などと、うわさ話に花を咲かせるためにトリ・グナのことを書いたのではありません。
アーユルヴェーダが体質と気質との関係を多角的に説き明かしていることや、時間や季節との 関係も考慮していることを、お伝えしたかったのです。

そういえば、Vata、Pitta、Kaphaについてまだ詳しく説明していませんが、ラジャスを起こすのは、タレナさんタイプに代表されるPittaとフンズさんのVataです。
タマスを増やすのはノンビさんのKaphaです。

それではサットヴァはどうかというと、食生活や行動によってドーシャのバランスを保ち、精神性を高める努力をすることによって、増えるのです。


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来月号からはドーシャのことや食べ物、時間、季節との関係は
どうなっているのかなどを書いてみようと思います。

9 月 の < 日 常 と 季 節 の 過 ご し 方 >


9月の初旬はまだまだ暑いので、引きつづき夏の過ごし方でよいと思います。
台風シーズンには、6月号で紹介した長雨対策を行ってください。インドと日本では季節の現れ方が違いますから、アーユルヴェーダの古典をそのまま応用できないのが難しいところです。

やはり、その土地に昔から伝えられている養生法を見なおし、時代に合った対処法を見つけ出していくことが大切なのだと思います。ところで、9月のお月見やおはぎを食べる習慣は、アーユルヴェーダにかなった秋の過ごし方なのですが、秋のことは来月号にまわします。
今月はちょっと手抜きで、ごめんなさい。
(みずき・かは:オフィス・ナンディ)


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