一般社団法人 日本アーユルヴェーダ学会

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アーユルヴェーダからのアドバイスコーナー: 水木 可葉
ア ー ユ ル ヴ ェ ー ダ の レ ッ ス ン(7)

季 節 の 話 : そ の 1

◇ 季 節 に 合 っ た 暮 ら し


季節の説明はややこしいので、要点を先に書いてしまいましょう。季節が変わることによって身体内のドーシャや体力に変化が起こりますが、この変化を補正できるように食物の味や環境も変化するので、季節に合った暮らし方をしていれば、健康でいられる仕組みになっています。
先にも書いたように、インドと日本では地理的条件が違うので、季節の現れ方は違います。
アーユルヴェーダの季節にたいする考え方を知ったうえで、日本の気候風土に合った応用の仕方を考えたいと思います。
千年以上前にアーユルヴェーダの古典が編纂された北インドの緯度は、ちょうど沖縄と同じあたりです。スーパーで売られるくらい普及したギムネマ茶に沖縄産のがあることでもお分かりのように、インドは北欧ほど遠くはないのです。



◇ 風 ・ 太 陽 ・ 月


アーユルヴェーダによると、自然環境をつかさどっているのは風と太陽と月です。風が向きを変え、太陽と月が天体を運行することにより、昼と夜、季節、味、ドーシャ、体力が発現すると書いてあります。
風の動きと太陽の熱は、自然環境から潤いを奪い乾燥させます。その影響で植物の味は、冬至から夏至にかけて苦味、渋味、辛味の順に強くなります。
月は、その冷たい光りによって大地を潤す力をもっています。月の力が優勢になる夏至から冬至にかけては、大地には水が豊富になるので、植物の味は酸味、塩味、甘味の順に強くなります。



◇ 太 陽 の 北 回 帰 と 南 回 帰


季節が移り変わるのは、たしか地球の自転軸(回転軸だったかな)が傾いているからだと理科の時間に習いましたね。この傾きのために、地球側から見た太陽の通り道(黄道)は移動します。
真昼の太陽が一番低いのが冬至で、半年かけて高くなって行きます。これを太陽のウッタラヤーナ【北回帰】といいます。

北へ回帰するにつれ、日差しは強くなり、大地は水分を奪われ、人の体力も減退していきますので、この半年をアーダーナ【奪取、receiving】とよんでいます。
真昼の太陽が一番高くなるときが夏至です。
夏至から冬至にかけては太陽のダクシナーヤナ[南回帰]があります。南回帰にしたがい日差しが弱まり、月の冷却作用が前面に出てきます。大地には水分がよみがえり、人の体力も回復してきますので、この半年をヴィサルガ【放出、releasing】とよびます。



1 0 月 の < 日 常 と 季 節 の 過 ご し 方 >


北インドも日本も9月、10月は秋です。ヴィサルガの真っ只中ですから、月の影響力が強くなっています。雨季(台風)の雨風で弱められていた太陽の影響は、秋になると再びもり返してきます。
一方、体内では熱と鋭さをもつピッタが増え、体力と消化力が強くなっています。
そのうえ直射日光で体が急激に温められると、夏のあいだに溜まっていたピッタが悪化します。
ですから、秋に日光浴をするのはよくありません。この時期はさかんに運動会や戸外で過ごす行事が催されますが、日傘や帽子で直射日光を遮りましょう。ピッタを鎮めるための月見は宵の口だけにします。深夜まで月光浴をすると、かえって健康を損ねるそうです。

ピッタを鎮める食品の代表的なものは、ギー(バターオイル)です。ギーは身体を冷やす作用があるのです。同じ油脂類でもゴマ油やからし油は温める作用があるので、秋に控えるのが得策です。
苦味、甘味、渋味はピッタを和らげます。

牛乳や緑茶もピッタを抑えます。酸味、塩味はピッタを増やすので控えます。鼻血を出しやすい人、湿疹やジンマシンの出やすい人はピッタが強い人なので、この時期はとくに注意が必要です。

秋には秋の花飾りをし、清潔な服を着るようにと古典には書いてありますが、秋を感じさせるおしゃれをすればよいのだと思います。
それから、秋の水は最も健康によいそうです。日光で温められ、月光で冷やされ、時の経過で熟され、アガスティア星(カノープス)によって毒を抜かれているということです。
おいしい水で評判の神社へ、もらい水に出かけてみませんか。

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