一般社団法人 日本アーユルヴェーダ学会

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アーユルヴェーダからのアドバイスコーナー: 水木 可葉
ア ー ユ ル ヴ ェ ー ダ の レ ッ ス ン(10)

◇ 食 事 ・ 睡 眠 ・ 性 生 活


西洋ではトリアス(ラテンン語、英語ではtriad)といって、物事の特徴を三個一組で表現することがありますが、インドでも三つとか五つとかの数で物事をくくるのが好きなようです。
トリ・ドーシャやトリ・グナのことはすでに書きましたが、薬剤にも三果、三辛、大五根、小五根などがあります。

アーユルヴェーダの三大医書のひとつである「チャラカ本集」の総論11章には、体力や病気の原因などに関する八つのトリアスが出てきます。
生命の三本柱といえばトリ・ドーシャですが、八つのトリアスのひとつに、生命を支える補助的な三本柱というのがあります。それはアーハーラ、スヴァプナ、ブラフマチャルヤーの三つです。

はじめの二つが食事、睡眠で、最後のは禁欲です。
ただし、全員が禁欲すれば人類は絶滅してしまいますから、健康な子孫を残すための節度ある性生活を指しているのだと思います。



◇ シ ニ ア ラ イ フ を 美 し く


ところで、先日、シャルマ夫妻のアーユルヴェーダ講座で興味深い話を聴きました。
アーユルヴェーダの三大医書は「チャラカ本集」、「スシュルタ本集」、「八科精髄集」ですが、先の2冊を折衷し簡潔に韻文でまとめたのが、最後の本、通称「アシュタンガ<八科>」です。

「チャラカ」も「スシュルタ」も、ブラフマチャルヤーを説いているのですが、「アシュタンガ」では、何故か、否定の前置詞であるアがついて、アブラフマチャルヤーになっているそうです。

話が横にそれて肝心なことが後になりました。
古典によると、生命の三支柱である食事・睡眠・性生活が理にかなっていれば、与えられた寿命を健全にまっとうできるということです。
ですから、シニアライフを美しく過ごす鍵はここにあるのだと思います。



◇ 理 に か な っ た 食 事


アーユルヴェーダは食事を健康維持のかなめだと考えていますので、食事に関する注意事項はたく さんあります。
アーユルヴェーダが食事んトリアスとして挙げているのは、ヒタブク・ミタブク・フターシャブ
クです。からだによい食事を、適量、前回の食事が完全に消化されてから食べるということです。

からだによい食物を判別するチェック・ポイントは、産地、性質(味、成分、栄養素)、旬、調理法、食物の組み合わせなどです。

西川勢津子さんたちが訳された「考えながら食べよう」シュプリンガー・フェアラーク東京を読むと、アーユルヴェーダが薦めるような自然な食品が入手困難になったことを、改めて思い知らされます。
でも忘れてはならないのは、わたしたち自身に潜んでいる、手軽に"おいしい"ものをたらふく食べたいという節操のない欲望が食糧事情を歪めることに一役買っているということです。



◇ タ マ ス 食


食べる人の体質、消化力、季節、時間帯、空腹度、摂取量、精神状態も考慮するのがアーユル ヴェーダ式食事法です。
食べ方の要点は、調理したての食事を温かいうちに、適量食べることです。
アーユルヴェーダでは、調理後3時間以上たったものはタマス食とみなされます。
腐りかけ、食べ残し、干からびたもの、不潔なものがタマス食で、こういうものばかり食べているとタマスが増えるといいます。

では、朝に作った昼弁当を毎日食べるのは健康によくないのでしょうか。
インドのように、家庭で調理したばかりの昼食を職場や学校へ届けてくれる弁当運び屋さんがいない日本では、せめて作りおきや冷凍食品を避けることで、タマス弁当になるのを防ぎましょう。



1 月 の < 日 常 と 季 節 の 過 ご し 方 >


冬は乾燥するので、脂肪分の豊富な温かい料理を食べて、ヴァータが増大するのを防ぎます。
甘味、酸味、塩味、辛味を中心にします。
強いお酒、新米[他の季節には古米を薦めています]、肉類、ゴマなどもよいそうです。
味覚をたのしむようにというメッセージもありますし、冬の低カロリー食は健康を損ねるとのことですから、体重を減らしたい人は、いわゆるダイエットはやめて運動による減量にしましょう。

夜の外出は控え、部屋を暖め、寝室には沈香を焚くのがよいそうです。
性生活を楽しんだあとは、ヴァータ体質は牛乳かスープ、ピッタ体質は牛乳か果物か水、カパ体質はアルコールか豆のスープで疲れを癒すように書いてあります。
冬はアビャンガ<オイルマッサージ>が最適の季節ですから、入浴前に行ってください。
総じて冬は、優雅な季節のようです。

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