一般社団法人 日本アーユルヴェーダ学会

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アーユルヴェーダの真髄/DR.H.S.Sharma
朝日カルチャーセンター公開講座


1996年12月1日(日)のレクチュアのレジュメです。

インド伝統医学/アーユルヴェーダの真髄
前インド国立グジャラートアーユルヴェーダ大学.大学院学院長       
Ph.D.(Ayu.) Guj.Ayu.Univ.Jamnagar.India
H.S.SHARMA(ハリ・シャンカル・シャルマ)
English


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〈祈り:それぞれの身体に拡散する、どんな時にも存在する、五感の欲望、混乱、無 静観を引き起こす、このような精神も、身体も焼き尽くす欲望、嫌悪、貪欲、錯乱な どの精神的疾患、及びヴァータ、ピッタ、カパなどの身体的疾患、生死に関連する疾 患、これら全てを取り除く永遠の医師、即ち、かって傑出しなかった卓越した医師( パラブラフマー)に、私は帰依致します。〉


【1】 序 文
アーユルヴェーダは永遠の知識である。誰もこの知識を創り出していない。
宇宙の創造者であるプラーフマンでさえ、この知識を記憶に蘇らせ理解し、プラジー パティ神に伝えた。このようにアーユルヴェーダは口伝、聞伝による医学体系である。 これ程総合的で、永遠且つ神秘的ともいえる知識をわずか数頁で説明することは困 難である。 しかし、これから以下に述べる事実をもとに誰でもアーユルヴェーダの特 徴を理解できるであろう。 アウシャダi.e.薬物は宇宙の創造物であり、神々の前代、生物発生の三世代目に既 に存在していた。 その引用がヴェーダ文献に見られる。 創造、消滅、そして再び創造 がある。これは宇宙の創造者のゲームのようなものであり、宇宙の自然現象である。
出生、老化、病気、死は一種のゲームの循環にも似ている。我々は計り知れないゲー ムの媒体でもあるのだ。


【2】 アーユルヴェーダの定義
しかし、アーユルヴェーダは生命を測定している。
アーユルヴェーダは喜びをもっ て生きる為に、何が有益で何が不益な食べ物か、喜びのない生活から遠ざかる方法は何かを教えている。 生命にとって何が有益で何が不益かを説く生命の科学ーそれがアー ユルヴェーダである。 〈有益な人生、不益な人生、幸福な人生、不幸な人生、生命にとって何が有益で、 何が不益であるか、寿命の長さについて語る学問、それが生命の科学:アーユルヴェ ーダである。〉


【3】 アーユルヴェーダの特徴
聖なる知識の教本には次のような引用があります。 どのようにして健康な子供を生むか、母親の子宮に生命が宿るとき、アーユルヴェー ダは妊娠した母親に何を食べ、何を食べてはいけないかを教え、どのようにして1日 を過ごすべきかなど、日常の過ごし方を詳しく述べている。 それはアーユルヴェーダ が人間をして生命を完璧に形成することに卓越しているからであり、健全な肉体を維 持し、更に精神の働きを活発にし、理想的社会に発展させる為に有効な、最高の精神 状態を導く方法をもっているからである。


【4】 アーユルヴェーダの目的
確かに老化、病気は生命又はその人の人生にまつわりつく明白な要素ですが、アー ユルヴェーダは完全な健康を維持し、全ての病気から自由になることを目的にしてい ます。 これがアーユルヴェーダの第一の目的です。 病気になったとき病気の原因を根こそぎにし病気を治すこと、これが二つ目の目的です。


【5】 アーユルヴェーダ医学の基礎原則
疼痛、悲嘆、病気に苦しむ人々を見て各地の聖人、知識人たちが、これらの苦痛を いかに取り除くか、どうすれば人々は幸福で長寿を得られるのかという問題を討議す るためにヒマラヤの平原に集まった。 様々の調査、話し合い、討論の結果、彼らは 深い瞑想に入った。 一同に会し深遠な行を続けながらその静観中、同時に誰もが同じ 6つの課題を悟った。 彼らの瞑想が終わったとき、誰かが次のように宣言した。 これらは創造と消滅の基礎原則である。


1) サーマーニヤム :類似の原則 → 一般的
2) ヴィセーシャム :相違の原則 → 特殊的
3) グナーン    :属性の原則 → 性質
4) ドラヴヤーニィ :物質の原則 → 所有
5) カルマ     :作用の原則 → 遂行
6) サマヴァーヤ  :分離不可結合の原則 → 永久共存


人類の病気を取り除き健康な長寿を得るためのこれら6つの課題を達成するとき、興 奮、嫉妬、貪欲、悲しみ、怒り、恋愛などの感情から、彼ら自身卓越した保護法を見 いだし、健康で永続的長寿を達成した。


 アーユルヴェーダはこれら6つの基礎原則を持ち、以下の3大幹に分けられた。


1) ヘートゥ  :原因学
2) リンガ   :症候学
3) アウシャダ :治療・薬物


 これらは健康者と病者の両方にとって最高の媒体であり、薬物はすでに存在していた 。 第2に宇宙の創造と消滅の課題についての友好的 且つ 家庭的討議の終わりに、 アートマン(魂)i.e.超自然力が進化のまず最初に現れ、次いで自性が第2の地位に 現れた。自性は3つの性質をもっている。


1) サットヴァ :知恵(善の属性、叡質)
2) ラジャス  :情動(活動の属性、病的状態)
3) タマス   :無知(恍惚の属性、暗黒)


【6】 パンチャマハーブータ(5つの微細原子)理論
依然ある要素は発展しないままで残っている、それが(未顕現)アヴャクタと呼ば れる。 5つの原始的微細物質、すなわちシャブダ.タンマートラ(音)、スパルシャ(臭).タンマートラ(触)、ルーパ.タンマートラ(色)、ラサ.タンマートラ(味)及 びガンダ.タンマートラは既存の原子で出来ていると考えられている。マハーンとい う大きなエネルギーの塊を考えるとき、5つの微細原子(マハーブータ)は創造物の 眼で捕えることのできる最初の産物である。これらの原子はアーカーシャ(空)、ヴ ァーユ(風)、テージャス(火)、アーパ(水)、プリティヴィー(土)である。身 体の生成では3つの微細エネルギーi.e.ヴァータ、ピッタ、カパがそれとみなされ、 宇宙のあらゆる物質の形成は、人間であれ動物であれ、植物であれ鉱物であれ、上記5つのマハーブータ(原子)の結合が物質の構成に絶対的に必要であると考えられ ている。


 人体も同様にこれらの5つの微細原子で創られている。良好な健康を維持する為には自然の中から何かを取り入れ、消化し組織内に吸収し なければならない。そのためにラサ(味)、グナ(属性)、ヴィールヤ(薬力)、ヴ ィパーカ(消化後の味)、プラバーヴァ(特殊作用力)理論が、物質の生理学的課題 と同じく薬理学的役割の原則となって発達した。パンチャマハーブータ(5つの微細 原子群)は、あらゆる物質(塊)生成には欠かせない必須のものである。
またこれが 大部分を占め、精神、魂は生命の創造では3分の2を占める。
  精神機能の構造は非常に難解な過程を経て発展している。単一の極微細粒子(タン マートラ)が結合し粗大粒子(マハーブータ)を生じ、さらにこれら5つの粗大な粒 子の結合が種々の生命を創りだしている。それ故この世に存在する全ての物質は生物 と無生物のみに分類される。 霊魂的分野は全くこれと異なるが、このように身体、精 神、魂の調和した結合により生命が生ずるのである。アーユルヴェーダは個体の良好な健康を維持するためのこの原則に基づき、生命を 扱っている。 一方では毎日の過ごし方を教え、社会の調和を保つため、病気の原因と その除去法、他の合併症を生ずる原因をつくらない治療原則を明確にしながら、生命を扱っている